◆区間
5号湾岸線尼崎末広IC付近(?)〜宝塚IC(中国自動車道)
◆推測される候補ルート
・候補1:武庫川東岸付近(具体化を進めていた1997年(平成9年)頃は全線を地下もしくは掘割等の半地下構造で検討していたようです。)
5号湾岸線と中国自動車道の宝塚ICを結ぶ路線で、事実上とん挫してしまった阪神高速武庫川線計画を少しルートを東へずらして再構成したような路線構想です。平成3年から兵庫県で具体化に向けた調査を進められ、当時の計画では平成9年には具体的なルート等を発表する予定でした。この阪神間南北線はかつての武庫川線より東側の宝塚市-伊丹市-尼崎市を通るルートで構想されています。
一時期は構想の具体化への動きがみられていましたが、1998年(平成10年)に事実上中断状態となり、その後20年以上も動きがないまま現在に至っています。
阪神地区では念願だった阪神高速道路湾岸線の延伸が着工し、大阪府内でも淀川左岸線延伸部が事業化、かつての阪神高速第2環状線構想が形を変えながらも「大阪都市再生環状道路」として完成時期が見えてきました。このように、これまで前進すら出来なかった都市高速道路計画や構想が次々と事業化するなか、そろそろ次の道路構想の具体化を考えようかという段階が近づいております。
関東では東京外環自動車道の千葉区間が全通、さらに東京都内では大深度地下で建設が着々と進む中で、未着手だった外環道の首都高湾岸線へのルート選定が進んでいます。さらにあの「第二湾岸線構想」が再び動き出そうとしており、首都圏は次の道路構想の具体化を進めようとしています。
昨今、次々と事業化されたり開通している阪神高速路は、1970年に吹田の千里丘で開催された万博後の道路ネットワーク構想だったものです。そして、2025年には関西で2度目の万博がやってきますので、次の段階へ進むべき時が近づいており、恐らくはこれまで具体化していなかった道路構想などに動きがあるかもしれません。ここ最近事業化したり着工した阪神高速湾岸線延伸部や淀川左岸線延伸部、2020年3月に全通した6号大和川線は、全て東西方向への道路です。この流れからして道路構想として次に具体化されるのは、南北方向の道路ではないかと推測されます。そこでこ期待してしまうのがこの「阪神間南北線」です。特に周辺自治体から具体化への陳情が国へ行われいる状況ではありませんが、代替路線も存在せず、一度ある程度具体化が進められた経緯がある(阪神地域南北道路整備推進特別協議会の設立など)ので、再始動するのではないかと当サイト「高速なページ」では予想しています。
尼崎市議会でよく議論されていた1997年(平成9年)頃の会議録によると、市としては地下トンネルでの建設を要望していたようで、その構造を想定してルート等を検討していたようです。宝塚市議会の会議録によると、新名神高速道路(当時の名称はは第二名神)への接続も前提となっているとの事で、まずは阪神高速5号湾岸線〜中国自動車道宝塚ICを整備し、その後に宝塚ICから北へ延伸して新名神へ接続する将来構想があったようです。
ルートについては、武庫川東岸沿い、県道尼崎宝塚線沿い、道意線沿いの3ルートにて検討されていたようですが、どのルートで建設するかを公表されずに中断されています。
構想の具体化に向けては、兵庫県、尼崎市、伊丹市、宝塚市、阪神高速道路公団が参加する阪神地域南北道路整備推進特別協議会にて検討を進めていましたが、関連する市では調査費の予算が議会で否決される市もあり、必要性は認識しつつも足並みが揃っていない面もありました。
この武庫川沿いの地域は、元々昭和40年代に阪神高速武庫川線計画を公害を懸念した沿線住民による反対運動で計画休止にした経緯があるうえに、尼崎市には全国的に有名になった国道43号線の公害問題があり、さらにこの構想の中止を求める請願が尼崎市議会に出されるなど厳しい状況でした。協議会ではある程度正確な構想ルート図を作成していたしていたようですが、そういった反対の声もあり住民の理解を得ていないと判断したのか、兵庫県や各市の議会にも構想の詳細が公表されていません。そんな中、平成7年に阪神淡路大震災が発生し、復興計画にも盛り込まれましたが、沿線からの反対運動以外にも、地下構造で数千億円以上が見込まれる事業費による採算性の問題もあったようで、結局は平成10年3月に阪神地域南北道路整備推進特別協議会にて、今後の技術開発の進展や社会経済情勢の動向を見定めていく必要があるという事になり、事実上中断状態になっています。
確かな情報とは言えないものかもしれませんが、この路線の通過市ではない西宮市議会(平成7年12月西宮市議会第4回定例会)では、平成7年12月にある議員さんが阪神地域南北道路整備推進特別協議会の構成メンバーの方から聞いた話をされており、「こう推定をします」と前置きをしつつもルートについては「東か真ん中か西か、こういうことでルートのことも議論されていましたが、大体は中に落ちついてきよるな、こういうように思います。」(西宮市議会第4回定例会議事録より抜粋)と若干ぼかしつつも尼宝線が最有力だという主旨の発言をしており、さらに「尼崎市民の反発もあるし、今いろいろと、まだ公表できる状況ではないなと判断をされているようですけれども、ランプをどこにつくるか。176号線にランプをつくるわけにいきません。国道43号につくるわけにはいきません。まあ国道2号か山手幹線かなということに落ちついてきます。」とまで発言しており、インターが国道2号線、山手幹線に想定されているような発言をされています。