阪神高速道路公団にて建設が進められ、公団の民営化後も阪神高速道路にて引き続き建設そして管理されてきましたが、2019年4月1日にネクスコ西日本(西日本高速道株式会社)と京都市へ移管されることとなり、阪神高速道路の路線ではなくなりました。
◆路線名について
阪神高速道路の管理路線だった頃から「8号京都線」という1つの路線のような名称がつけれていましたが、順次延伸・建設を進めて京都市内に都市高速道路網を構築する予定だったため、それぞれに路線名が付けられていました。建設建設段階から部分開通までは油小路線(鴨川西〜上鳥羽は油小路線斜久世橋工区と呼ばれていました)、稲荷山トンネルの山科〜鴨川東は新十条通という名称で呼ばれていました。
・油小路線区間
京都市伏見区深草(鴨川東出入口付近)〜京都市伏見区向島(第二京阪道路接続部)
・新十条通区間
京都市伏見区深草(鴨川東出入口付近)〜京都市山科区西野山(山科出入口)
・堀川線<南行き一方通行>(未開通)
京都市下京区高辻〜京都市伏見区竹田
・久世橋線(未開通)
京都市伏見区竹田〜京都市南区久世
・西大路線<北行き一方通行>(未開通)
京都市右京区西院〜京都市南区上鳥羽
◆出入口について
・油小路線区間
伏見出入口
城南宮南出入口
城南宮北出入口
上鳥羽出入口
鴨川西出入口
・新十条通線区間
鴨川東出入口
山科出入口
・堀川線<南行き一方通行>(未開通)
堀川五条入口
堀川八条入口
・久世橋線(未開通)
吉祥院出入口(久世橋方面)
石原入口(山科方面)
・西大路線<北行き一方通行>(未開通)
西大路十条出口
西大路七条出口
西大路五条出口
◆事業費
・油小路線区間
1,105億円(うち436億円は京都市の街路事業)
(平成21年度事業再評価について 平成21年11月27日 より)
・新十条通区間
648億円
(京都市道高速道路1号線(新十条通)再評価結果(平成17年度事業継続箇所)より)
・堀川線<南行き一方通行>(未開通)
1200億円
・久世橋線(未開通)
600億円
◆西大路線<北行き一方通行>(未開通)
1100億円
◆旧阪神高速道路8号京都線(油小路線区間・新十条通区間)
京都市で初めての都市高速道路で、平成20年1月に上鳥羽出入口〜第二京阪道路接続部が同年6月に山科出入口〜鴨川東出入口が開通しました。当初は二区間に分かれていましたが、平成23年3月に鴨川東出入口〜上鳥羽出入口が開通して一本に繋がりました。第二京阪道路と直結しているため、京都の市街地と大阪方面を結ぶ重要なルートとなっており、名神高速道路の京都南ICと比べると、8号京都線は少し京都市街地の中心寄りに出入口がある為、京都駅や市街中心地に向かう場合は大変便利です。
旧阪神高速道路8号京都線は現在、第二京阪道路の末端区間になっていますが、上鳥羽出入口付近にジャンクションを設けて久世橋方面へ抜ける久世橋線、久世橋線から北へ分岐して西大路五条へ至る北行き一方通行の西大路線、堀川五条から上鳥羽に至る南行き一方通行の堀川線の構想があります。阪神高速道路の路線時代の「都市高速道路網」の構想で、都市計画も決定済みですが京都市と京都府が阪神高速道路から抜けていますので実現性は低そうです。
途中で交差する名神高速道路ともジャンクションを設ける計画があり、こちらは都市計画が未決定なのですが、8号京都線の油小路線区間がネクスコ西日本に移管された事で、自社路線同士の接続となるので、以前よりは実現性が高くなったと思われます。
上鳥羽出入口付近と名神高速道路とのジャンクションについては、阪神高速道路時代に建設された時点から本線に分岐準備の構造が残されています。
上鳥羽〜鴨川東は山科方面行きの本線のみが建設され、そこを対面通行の暫定2車線で整備されています。
2019年4月1日から鴨川東〜山科の新十条通の区間が京都市に移管されて無料となりますが、山科入口には料金所が残されており、当面はETC通行車についてはそのまま通行(山科→鴨川東だけの利用車は無料で処理されます)、現金車は料金所で行先を「鴨川東まで行きます」などと申告して通行する暫定的な対応がとられます。流石にこれではまずいので、鴨川西出入口付近に本線料金所を設置すべく拡幅工事が行われています。この拡幅工事は将来久御山方面の本線となるスペースを利用して行われています。
★未開通区間について
旧阪神高速道路8号京都線の末端にある山科出入口は一般道路の交差点に直結しており、高速道路どころか国道にすら接続しておらず、往復6車線を誇る高規格な第二京阪道路の末端部分という感じがありません
これは山科出入口が京都市内の都市高速道路網の中の一部路線の末端として計画されたからであり、下記にある未開通路線と合わせて京都市中心部と周辺の市街地や第二京阪道路との間の交通を捌く事が当初の目的でした。
◆堀川線<南行き一方通行>(未開通)
未開通の路線で、計画が凍結状態にあります。南行き一方通行の路線で、ルートは国道1号線の堀川五条から堀川通を南へ進み、現在の8号京都線上鳥羽入口に至る計画です。途中には堀川八条入口が設けられる予定です。堀川五条入口は、ダイレクトに堀川五条交差点に繋がるわけではなく、国道1号線側は交差点の東寄りに入口が、堀川通側は交差点の北側に入口が設けられ、交差点の地下で2方向の入口が合流して本線になるような構造となっています。
都市計画決定済みの路線で、京都市の都市計画図にも記載されています。
◆久世橋線(未開通)
未開通の路線で、この路線も計画が凍結状態にあります。8号京都線の上鳥羽出入口付近にジャンクションを設けて、久世橋通を西へ進み、桂川を渡り久世橋出入口に至る路線です。途中には堀川線と対となる北行き一方通行の西大路線とのジャンクションが設けられる他、吉祥院出入口(久世橋方面)、石原入口(山科方面)が設けられる計画です。久世橋出入口からさらに西へは淀川北岸から大阪方面へ伸びる地域高規格道路「京阪連絡道路」の構想があり、久世橋線はその受け皿的な役割もある路線です。
久世橋線は都市計画決定済みの路線で、京都市の都市計画図にも記載されていますが、京阪連絡道路については都市計画未決定の構想段階の路線の為、都市計画図への記載はありません。
◆西大路線<北行き一方通行>(未開通)
未開通の路線で、この路線も計画が凍結状態にあります。西大路線は南行き一方通行の堀川線と対となる北行き一方通行の路線です。
久世橋線の西高瀬川付近にジャンクションを設けて北へ分岐し、高瀬川沿いを高架で進み、十条通と交差する南側で地下構造になります。この地下に入る付近には西大路十条出口が設けられる計画です。地下へ入った後は西大路通りを北へ進み、途中に西大路七条出口が設けられ、国道9号線と交差する付近に西大路五条出口が設けられる計画です。西大路五条出口も堀川線の堀川五条入口と同様に、交差点にダイレクトに出口が設けられるわけではなく、国道9号線側は交差点の東に出口が、西大路通側は交差点の北側に出口が設けられます。
都市計画決定済みの路線で、京都市の都市計画図にも記載されています。
上鳥羽出入口付近に久世橋ジャンクションを設けて、堀川線、久世橋線と接続する計画があります。その為、上鳥羽出入口付近は久世橋ジャンクションの接続路を追加で設置出来るように本線が作られており、分岐路や合流車線の分を増設出来るような構造(例えば将来拡幅予定の箇所は桁や橋脚が増設出来るように溶接可能なような加工を施し、ボルト添接の孔明けがされているようです)になっています。
かつての阪神高速道路公団であれば、将来計画の分岐線についても分岐する部分や合流車線なども本線建設時に一緒に作られる事が多かったのですが、この久世橋ジャンクションではコスト削減の為、しばらく不要となる将来的な準備部分は作られる事はなく、パッと見では本線がストレートにあるだけで、どこに分岐が作られるのか分からなくなっています。
この久世橋ジャンクションは全線が完成すると阪神高速道路でも屈指の巨大な構造物となるはずでした。(全景は下記に模型の写真画像を掲載しているので参照ください)
また、この久世橋ジャンクションのすぐ南では名神高速道路とのジャンクションを設ける計画がありますが、こちらの分についても久世橋ジャンクションと同様に追加車線用の桁や橋脚の増設・改良が出来るように考慮されています。位置が近い為、久世橋ジャンクションの分岐路に繋がる本線拡幅箇所がそのまま名神高速道路とのジャンクションの分岐路に繋がる構造になるようです。
↑久世橋ジャンクションの全景(模型)
明日の近畿 -プロジェクト概要- 平成10年度版(出版:新近畿創生(すばる)推進委員会)より抜粋
出入口も混在するうえに鉄道の駅を跨ぐ複雑なJCTです。この模型の実物を見たい・・・。
↑久世橋JCTの準備構造物(上鳥羽〜鴨川西にて久世橋方面を向いて撮影しています)
上段は現在の暫定本線に加えて久世橋線、堀川線、入口車線が合流する部分が拡幅されます
下段は現在の久御山方面と久世橋方面の車線です。
↑久世橋JCTの準備構造物(上鳥羽〜鴨川西にて山科方面を向いて撮影しています)
上の画像よりさらに久世橋よりで撮影
久世橋JCTの分岐合流部になるのか、上下ともに4車線程度に拡幅できそうです。
↑久世橋JCTの準備構造物(上鳥羽〜鴨川西にて久世橋方面を向いて撮影しています)
すぐ向こうにある高架は久御山方面への上鳥羽入口です。
このあたりでは久世橋線は完全に分岐した後のようで、現在の本線道路構造物しか見当たりません。
久世橋線はまっすぐ画像奥へ向かい上鳥羽入口の高架をまたぐ予定です。
↑久世橋JCTの準備構造物(近鉄上鳥羽駅から久御山方面を向いて撮影しています)
久世橋JCTが完成すれば、JCTに囲まれた珍しい駅になります。
画像右のマンションとこの駅の間に、平行するように久御山⇔久世橋線(久世橋方面)の連絡路通ります。
久御山からの連絡路は奥の本線にすでに分岐拡幅の準備されているのがわかります。
久世橋線から久御山への連絡路は、既存の本線をくぐるので、よくみると本線橋脚の間に通せそうなスペースがあります。
↑久世橋JCTの準備構造物(上鳥羽入口の料金所付近を撮影しています)
堀川線がここに接続されます。
久世橋線や西大路線の実現は極めて厳しそうですが、こちらはまだ少し望みがありそうです。
下記は数年前に撮影した久世橋JCTや京都南JCTの準備構造を撮影した画像です。
先日、なくなってしまう「8号京都線」表記の標識を撮影しに行った際に取り直したかったのですが、またしても雨で・・・
ということで古い画像のままですが、今とたいして変わらないので、とりあえずご了承くださいませ。
◆上鳥羽入口付近の久世橋JCT準備箇所
↑地図上の数字をクリックするとその付近からの画像が別ウィンドウで表示されます
※撮影しに行った日が雨だったので、結構暗い画像ですがご了承下さい。
◆京都南大橋〜京都南JCT予定地付近の分岐準備箇所
↑地図上の数字をクリックするとその付近からの画像が別ウィンドウで表示されます
※撮影しに行った日が雨だったので、結構暗い画像ですがご了承下さい。