播磨臨海地域道路 構想ルート図
↑の播磨臨海地域道路の構想ルート図については、播磨臨海地域道路網協議会発行の「はりま道しるべ 5号」(平成19年3月21日発行)を元に、姫路市、加古川市、明石市の市議会議事録記載の市長や担当者の方の発言や、国土交通省近畿地方整備局の公式サイト記載の社会資本整備審議会道路分科会近畿地方小委員会資料から当サイト管理人が2018年4月28日に作成したものです。
◆区間
兵庫県姫路市揖保郡太子町上太子付近〜兵庫県神戸市西区平野町
全長約50km
上記のうち優先整備区間
・広畑〜飾磨バイパス(中島付近)
・飾磨バイパス(白浜付近)〜的形(JCT)〜高砂
・的形〜播但連絡道路(姫路JCT付近)
・明姫幹線(国道250号線)〜第二神明道路
※当面都市計画や環境アセスメントなどを進める区間
・広畑〜第二神明道路付近
◆今後の開通予定
広畑〜明石西JCTについては、2038年頃までの開通が目標(優先整備区間より順次整備が進むと推測されます)
構想区間を含めると2050年頃の全線開通が目標
上記の開通目標については「ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画(2019年3月兵庫県)」に記載あり
◆事業費
広畑〜明石西JCT(複数案よりルート検討中)
内陸・加古川ルート:5,900億円
内陸・明石ルート :6,200億円
沿岸・加古川ルート:9,300億円
沿岸・明石ルート :9,600億円
播磨臨海地域道路は国道2号線の加古川バイパスや姫路バイパスの南方の臨海地域に構想されている高規格道路です。全体構想のルートでは揖保郡太子町上太子付近で国道2号線太子龍野バイパスと接続、南下して姫路市広畑区からは海側の臨海地域を東へ進み加古川市別府付近で内陸のやや北方面へ向きを変え、加古川バイパスと第二神明道路へ接続します。さらにそのまま数km程北側を加古川バイパスと第二神明道路と平行するように東へ進み、神戸市西区平野町で神戸西バイパスに接続します。
途中の姫路市的形付近では播但連絡道路へと接続する連絡線のJCTが設けられますが、この連絡線は兵庫県道路公社の有料道路事業とする事が検討されています。さらにこの的形のJCTを境に西側(太子町方面)を兵庫県が県の補助国道事業として、東側(神戸方面)を国が直轄事業として整備することが検討されています。播但連絡道路との連絡線があえて「有料道路事業」として以前から議会で明言されていますが、本線については今の所明言がないため、恐らくは国道2号または250号線の無料バイパスとして整備するのではないかと推測されます。
播磨臨海地域道路が構想区間も含めて全線開通すると、神戸西バイパス・第二神明道路(北線)・阪神高速道路湾岸線と一体となった湾岸道路のネットワークが完成し、播磨から神戸、大阪、そして関西国際空港へという長大な湾岸道路となります。
2019年夏についに広畑〜明石西JCTのルート案が提示されました。これは都市化計画や計画の事業化を前提にしたもので、ここまで来ると後戻りはありません。「播磨臨海地域道路網協議会」の設立から苦節20年以上!ついに「播磨臨海地域道路」が具現化します!
↑播磨臨海道路〜神戸西バイパス(第二神明北線)〜阪神高速道路湾岸線がつながることで、播磨から関西国際空港までの巨大な高速道路ネットワークが完成します。
この地域の幹線道路である国道2号線や国道250号線では慢性的に渋滞が発し、特に以前から国道2号線の姫路バイパスと加古川バイパスでは渋滞が慢性化しています。社会資本整備審議会道路分科会近畿地方小委員会第15回の説明資料によると両バイパスともに1日あたり16万台以上の交通量があり、本来の交通容量を5万台以上オーバーしており、完全に飽和状態となっています。
播磨地域は臨海部が工業地帯となっていますが、加古川バイパスや姫路バイパスはこの臨海地域よりも住宅地などを挟んだ内陸を通っている為、南北に通る道路を中心に工業地帯への自動車交通が住宅地の近くを往来して渋滞も起きている状況です。高速道路の山陽自動車道に至ってはかなり北側を通っているため利用しにくく、この国道2号線バイパスが他の都道府県へ向かう為の高速道路のような役割を果たしています。
また、この地域の大きな特徴である工業地帯は播磨地域全体では自動車産業で有名な愛知県豊田市に次ぐ日本2位の製造品出荷額があり、慢性的な渋滞などに起因する経済損失は産業活動にも大きな影響を及ぼしており、これらの交通問題の解決は播磨地域だけではなく関西全体にも大きなメリットがあります。
播磨臨海地域道路はこのような状況を打破すべく構想された高規格道路です。実現に向けては平成10年に「播磨臨海地域道路網協議会」という姫路市長を会長に、加古川市長が副会長、他の沿線自治体の市長や町長が監事や理事として組織された協議会がつくられました。協議会では関係省庁や地元選出国会議員への要望をはじめ、広報誌の発行などの活動を20年以上にわたって途切れることなく続けてこられました。この20年以上の活動が功を奏し、優先整備区間については念願の事業化が見えてきました。
播磨臨海道路については、以前から工場と住宅地の間にある緑地帯が候補になっており、さらに自治体が中心となり移設が困難な事業所なども調査するなど、海沿いの地域については実はある程度通す予定の場所を定めているような感じがありました。そのため、比較案で出るのは既存バイパスの拡幅や明姫幹線の立体化あたりかなと思っていましたが、本命ルート(内陸ルート)の比較案でとんでもないルート案が提示されました。
◆内陸ルートについて
概ね予想通りのルートで海側は基本的に工場地帯と住宅地の間にある緑地帯を通るルートで、海側から第二神明道路までについては加古川寄りを通るルートと明石寄りを通るルートの2パターンが提示されています。
事業費が思ったより高く加古川ルートで5,900億円、明石ルートで6,200億円と無料のバイパス道路の事業費の範疇ではなく国家プロジェクト並みになっています。(まぁ、距離はあっても阪神高速湾岸線みたに長大橋はないから5000億円弱かなと予想してましたが、驚愕の6000億前後でした・・・)
本命ルートでこんな金額が出るということは、もうあると程度政府機関と話しは付いてると思いたい・・・
姫路ジャンクションへつながる部分以外は無料のバイパス道路として考えられていましたが、たぶん有料道路事業になりそうです。
◆沿岸ルートについて
本命ルートの比較案で出されたのがこの「沿岸ルート」です。
こちらにも加古川寄りと明石寄りのルート案があり、加古川ルートで9,300億円、明石ルートで9,500億円となり、なんと9,000億越えの数字が出てしまっています。
内陸ルートと違うのは工場地帯南の海側を通す点で、用地買収は少なくなりそうですが、恐らくは海上を通る箇所が多いので建設費の極端な高騰が予測されて、このような金額が出されたのだと思います。
比較案を出して検討する場合は、費用対効果等も検証するのである程度近い事業費の案が多い気がしますが、これはかけ離れ過ぎており、非現実的な事業費から見て元々内陸ルート案を通すための「お断り比較案」のようです。
ちなみに、この沿岸ルート(明石ルート)の播磨臨海道路(約37km)と距離の近い、2018年に開通した新名神高速道路の神戸JCT〜高槻JCT(約40.5km)の事業費が7,200億円でした。新名神高速はで国家プロジェクト的な位置づけで建設されており、設計速度120km/hを誇る最高規格の有料の高速道路で、トンネルや谷をまたぐ巨大な橋も多くありますが、それよりも高いのが播磨臨海道路の沿岸ルート案です。
無論、播磨臨海道路は国家プロジェクト的な位置づけではなく、無料のバイパス道路として計画されおてり、9,000億円超えの事業費はやはり問題外かと思います。
ただ、闇雲にこのような比較案が出されるとも考えられず、私たちの知らないところで播磨地域を中心とした国家プロジェクトでも動き出そうとしているのでしょうか。
第二神明道路との接続については2案が出されておりますが、どちらの案も海側へ至るまではやはりそれなりに用地買収が必要で、ニュース記事などでは明石市が難色を示しているとの話もあり、どちらの案になるかは分かりません。
どちらのの案も、広畑方面からの本線が第二神明道路の北側に出たあとに、明石西ICの東側にJCTを設けて接続する方法をとっています。播磨臨海道路は明石西からさらに東側へ進み神戸西バイパスと接続する構想がありますが、それを考えると比較的住宅地の少ない第二神明道路の北側を通りそのまま神戸西バイパスに繋ぐことを想定しているかもしれません。
明石西JCTについてはどちらの案も大阪方面としか接続せず、姫路方面へは接続しません。
◆加古川ルート案
広畑方面からの本線が明石西ICのかなり加古川寄り(西側)で加古川バイパスと交差して北側を並走して第二神明道路の明石西ICの東でJCTを設ける案です。この案では加古川バイパスと交差する箇所でもJCTを設置してバイパスの姫路方面と接続します。明石西JCTでは明石ルート案含めて大阪方面としか接続しませんので、姫路方面への接続をも持った案でもあります。
加古川バイパスから海側へ抜けるルートについては社会資本整備審議会道路分科会 近畿地方小委員会の資料のルート帯が太くて位置が推測しにくいのですが、googleの地図などを見ているとルート帯が突き抜けている付近には宅地がやや少ない箇所があり、そのあたりを抜けていきそうです。それでも、明石ルートよりも宅地を突き抜ける感じがありますので用地買収はかなり大変そうです。
◆明石ルート案
広畑方面からの本線が明石西IC付近で第二神明道路と交差して北側へ出た後、明石西JCTにて接続する案です。第二神明から海側へ抜けるルートについては、こちらも近畿地方小委員会の資料でかなり太い帯でルートが示されていて、どこを通るかはっきりしていませんが、住宅地を突き抜けるとは考えにくく、恐らくは「県道208号二見港土山線」に沿ったルート(県道上に高架道路を建設)が想定されているかと推測しています。
加古川ルートほど住宅地を突き抜けるわけではなので用地買収も少なそうですが、明石市の市長が反対しているようで、明石市の対応次第では事業の迅速な実現のために加古川ルート案になりそうです。